抄録
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含む人獣共通感染症原因ウイルスの多くは野生動物を起源とする.今後も発生することが予想される新たなウイルス性人獣共通感染症への備えとして,さまざまなウイルスの自然宿主,自然界における存続機構と伝播経路に関する知見を蓄積することが重要である.筆者らは,アフリカおよびインドネシアの研究者と共同で,現地のコウモリ,げっ歯類動物,霊長類動物および節足動物が保有するウイルスを対象とした研究を実施している.これまでに,上記の動物から,人に病気を起こすウイルスやこれまで知られていない新規ウイルスを多数見出した.本稿では,パルボウイルスとロタウイルスに関する成果を中心として紹介したい.