抄録
後天性免疫不全症候群(acquired immune deficiency syndrome:AIDS)の原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)が1983年に分離されてから40年以上が経過した.AIDSは流行初期には死の病と恐れられたが,今日では治療薬の進歩で,多くの感染者は薬を飲む限り健康状態を維持できる様になってきた.また,基礎研究の進展で,なぜHIVは体内から排除することが困難であるのか,どの様に感染者に免疫不全を引き起こすのか,も明らかになってきた.本稿では,HIV発見,HIV否認主義,レセプターとコレセプター,HIV分離の際のバイアス,広域中和抗体,AIDS病態理解,の各項目について40年間の進展を記載する.