ウイルス
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溶原化変換系における溶原性の自然喪失
植竹 久雄萩原 新牧野 利一
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1962 年 12 巻 1 号 p. 49-54

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抄録
Salmonella anatum 1 (=A1株とする) -O抗原構造3.10-をε15ファージで溶原化し, A115)-O抗原3.15-を得た。 A115) 株の培養にε34vir hファージを加えてO抗原3.15の細胞を殺してしまうと, 約10-5 (8.4×10-6) の割合に生残り細胞を認め, その中R型細胞が6.3×10-6, S型細胞が2.13×10-6の割であつた。 S型細胞 (2.13×10-6) の中1.66×10-6は “O抗原3.10, ε15及びC341ファージに感性, ε34 vir及びε34 vir hファージに抵抗性で, 且ε15で溶原化するとO抗原が3.10から3.15に変換する” という点も含め, 諸性状がA1と同一であり, 従つて自然にプロファージε15を失つた細胞と考えられる。 O抗原3.15の菌株を抗15因子血清加培地に培養すると, O抗原3.10の細胞が得られる (小原, 1950; 中川 (武), 1953; Uetake, et al., 1955) のは, このプロファージを自然に失つた細胞を把握しているものと考えられる。
尚S型細胞の中にはε16b (ε15の突然変異株: Uetake, et al., 1959) をもつ細胞 (4.1×10-7) も含まれていた。
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