抄録
本研究では, 米国における脳外傷者の職業リハビリテーションに関する文献を概観し, 脳外傷の発生率, 職業復帰の状況, 病院における脳外傷プログラムなどについて, 最近の動向を整理した。さらに脳外傷者を対象とした援助付き雇用に焦点を当て, 脳外傷者に特徴的な問題, ジョブコーチの援助技術, 援助付き雇用の効果などについてまとめた。米国では, 脳外傷者に対して援助付き雇用が一定の効果をあげており, ジョブコーチが実際の職場で援助することが, 複雑な障害特性をもつ脳外傷者にも有効に機能していることがうかがわれた。しかし, 援助付き雇用でも解決できない問題も指摘されており, 脳外傷者の就労援助の難しさが改めて示唆された。