東京都心身障害者福祉センター精神薄弱科では, 1987年から自己理解を深めるためのプログラムを持っている。プログラムの目的は, (1) 障害の理解, (2) 自分を肯定的にみる, (3) 発言力をつける, (4) わかりやすい情報を得る, (5) 必要な時に手助けを頼めるである。その援助の仕方を報告する。
次に, 軽度知的障害者79人に対する, プログラムを通しての自己理解の状況の調査結果の検討をする。障害の有無については, 66%の人が障害がある, 15%がわからない, 19%がないと答えた。障害の認め方とIQ, 年齢, 職歴との問に相関関係はなかったが, 教育歴, 家庭環境, 失敗体験の有無, 考える力, できないことを認める力が影響していると考えられた。障害に対する差別的な経験や不安から障害を認めることができない人や, 療育手帳はあったほうが良いとしながらも手帳所持について否定的な人も少なくない。一方, プログラムだけでなく当科の援助全体による効果と考えられるが, 自信がつく, 障害を認める方向に変わる, 苦手なことへの配慮を求められるなどの変化がみられた。
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