2006 年 15 巻 1 号 p. 25-27
症例は81歳の男性. 突然の腰痛, 下肢冷感を主訴に近医より紹介された. 当初は腹部大動脈瘤の破裂疑いであったが, 症状, 腹部CT所見より急性閉塞型の腹部大動脈瘤と診断した. 発症後8時間ではあったが全身状態は安定していたため人工血管置換および血栓摘除術を行った. 血行再建後, 腸管に再灌流障害に起因すると思われる腸管壊死が発生したため, 左半結腸切除, 人工肛門造設を併施した. 術後は再灌流障害に起因する多臓器不全を発症し術後第2病日に死亡した. 急性血栓閉塞型腹部大動脈瘤は稀であり, 救命のためには迅速な外科的血行再建, また, 術後再灌流障害に対する対策が必要と考えられた.