日本血管外科学会雑誌
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症例
Blebを伴った非破裂性膝窩動脈瘤の1例
森嶌 淳友笹橋 望植山 浩二
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2006 年 15 巻 7 号 p. 625-628

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抄録
Blebを伴った非破裂性膝窩動脈瘤の1例を経験した. 症例は75歳, 男性. 右下肢の冷感, 安静時疼痛にて当院受診となった. 右下肢急性動脈血栓閉塞の疑いにて緊急血管造影検査施行, 右膝窩動脈瘤を認め, 膝下3分岐以下は血栓閉塞していた. 手術は腹臥位にて後方より瘤に到達した. 瘤の形態は嚢状 (25mm×40mm) で, 一部に乳頭状の突出部分bleb (8mm×8mm) を認めた. 瘤を切除し, 末梢側の血栓除去を施行後, 端々吻合により再建した. 病理組織では真性瘤であったが, blebの部分は中膜のみで形成されていた. 術後血管エコーにより腓骨動脈瘤 (直径14mm) の存在が明らかになった. 術後13日目, 下肢疼痛が増強, 緊急カテーテル検査にて腓骨動脈瘤の破裂と診断しcovered stentを留置した. また, この時の造影により後脛骨動脈瘤も同時に発見されたが, その後, 瘤の拡大傾向は認めず術後37日目軽快退院された. 本症例では瘤内血栓による下肢閉塞を契機に発見されたblebを伴う膝窩動脈瘤を認めた. Blebを伴う動脈瘤の場合, 破裂の危険性が高く, 早急に外科的切除を施行するべきである.
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