日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
破裂性胸部大動脈瘤に対する手術成績
鹿田 文昭荻野 均松田 均湊谷 謙司佐々木 啓明綿貫 博隆北村 惣一郎
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2007 年 16 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

【背景】破裂性胸部大動脈瘤は重篤な疾患であり,その手術成績は不良である.患者背景および手術成績について検討した.【方法】2001~2005年に破裂性胸部大動脈瘤のため緊急手術を施行した27例(急性大動脈解離および切迫破裂例を除く)を対象とした.男女比14:13,平均年齢74.5 ± 7.4(60~88)歳.真性瘤20例,仮性瘤 2 例,慢性大動脈解離 5 例(A型 1 例,B型 4 例)であった.破裂部位は,心嚢内 2 例,胸腔内17例,縦隔内sealed rupture 5 例,肺内穿破 3 例であった.術式は,弓部全置換12例,下行置換 9 例,hemiarch置換 1 例,胸腹部置換 4 例,基部置換(Bentall)+ hemiarch置換 1 例であった.合併手術は冠動脈バイパス術 2 例,左鎖骨下動脈バイパス 1 例,大動脈-左大腿動脈バイパス 1 例であった.【結果】病院死を 7 例(25.9%)に認め,原因は低心拍出量症候群 2 例,脳梗塞 2 例,感染 2 例,肺出血 1 例であった.合併症は呼吸不全 5 例(18.5%),脳梗塞 8 例(29.6%)などを認めた.病院死亡の危険因子は側開胸手術で,脳梗塞の危険因子は80歳以上であった.Kaplan-Meier法での累積生存率は,術後 3 年で71.4%であった.【結論】破裂性胸部大動脈瘤に対する緊急手術は依然として高い死亡率を伴い,成績向上のためにはさらなる迅速,正確な手術が望まれる.また,呼吸不全と脳梗塞の発生頻度が高く,その予防対策も重要と考える.

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