日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
ステントグラフト治療 5 年後の破裂に対して外科手術で救命しえた腹部大動脈瘤の 1 例
秋田 淳年栃井 将人星野 竜服部 浩治山下 満安藤 太三
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 16 巻 2 号 p. 55-58

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抄録
症例は78歳男性.陳旧性肺結核に対する胸郭形成術の既往がある.5 年前に他院で呼吸機能不良のため,腹部大動脈瘤に対してY型ステントグラフトを留置された.術後より中枢側の近位部I型エンドリークを指摘されていたが,保存的に経過観察となった.2006年 1 月突然強い腹痛を自覚し近医受診.緊急CTにて腹部大動脈瘤破裂と診断され当院を紹介された.来院時意識清明で血圧は80台であったが,全身麻酔導入後にショック状態となった.心臓マッサージを行いつつ開腹し,Y型人工血管置換術を行った.術後呼吸管理に難渋したが,とくに重篤な合併症なく経過し,51日目に軽快退院となった.ステントグラフト治療は高齢者や全身状態が不良で手術が困難と考えられる症例には有効であるが,I型エンドリークを認める場合には動脈瘤破裂の危険があるため早期に追加治療を行う必要がある.
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