抄録
症例は74歳女性.40歳代に子宮筋腫にて膣式子宮全摘術,73歳時に肺癌にて右下葉切除を施行された既往を持つ.肺癌術後 7 カ月目のフォローアップのCTで下大静脈内の腫瘤を指摘された.腫瘤は右内腸骨静脈より腎静脈下下大静脈まで進展していた.手術は腹部正中切開で開腹し,補助循環は使用せずに下大静脈内腫瘍を切除した.病理組織検査は平滑筋腫であり,エストロゲンレセプター陽性であった.本症例は子宮平滑筋腫術後に内腸骨静脈経路で下大静脈に進展した,血管内平滑筋腫(intravenous leiomyomatosis)と診断された.