抄録
腹部大動脈瘤人工血管置換術後 5 年目に二次性大動脈十二指腸瘻を形成した 1 例を経験したので報告する.症例は54歳男性.突然の吐下血とともに意識消失し入院となった.既往歴として 5 年前に腹部大動脈瘤に対しYグラフト置換術を施行している.CT,上部消化管内視鏡検査,血管造影から二次性大動脈十二指腸瘻と診断され手術となった.手術所見では,初回手術時の中枢側吻合部は仮性動脈瘤を形成し,腸管との間に大動脈十二指腸瘻を形成していた.手術は十二指腸瘻孔部の直接縫合閉鎖を行った後,十二指腸と瘻孔を形成したグラフトを部分切除し,新たな人工血管を用い解剖学的経路にて再建した.吻合部周囲には大網充填術を行った.現在術後 9 年を経過しているが良好に経過している.