日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腸管壊死を合併しハルトマン手術を一期的に施行した腹部大動脈瘤破裂の救命例
松下 明仁小宮 達彦田村 暢成坂口 元一小林 平古川 智邦
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2008 年 17 巻 3 号 p. 457-461

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抄録

症例は69歳,男性.腹部大動脈瘤破裂を発症後,約30時間を経過して診断された.当院来院時に血圧低下,ショック状態であり緊急手術を施行した.腹腔内に血液の漏出があり,破裂を伴う 6cm径の腹部大動脈瘤と後腹膜腔内に多量の血腫を確認した.またS状結腸から結腸にいたる虚血所見を認めた.Y字型人工血管置換術を施行し,後腹膜を可及的に閉鎖した後に,一期的にハルトマン手術(S状結腸,直腸切除+人工肛門造設術)を施行した.急性腎不全のほか,呼吸不全,肝機能障害を合併したが,鎮静下の全身管理により血液透析,呼吸器からの離脱に成功した.一般病棟でのリハビリテーション後,重篤な後遺症なく術後23日に軽快退院した.

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