抄録
Segmental arterial mediolysis(SAM)という概念は近年,腹部内臓動脈瘤の成因として注目されているが,SAMに起因する腹腔動脈瘤を経験したので報告する.症例は41歳,女性.平成18年 6 月下旬突然の腹痛あり,近医に救急搬送されCT撮影した結果,両側腎梗塞,脾梗塞を認め緊急入院となった.ヘパリン5000単位/日投与開始,その後腹痛消失,CTにて脾梗塞像も消失した.7 月上旬造影CTにて腹腔動脈瘤が指摘され,急激な拡大傾向があるため手術目的にて同日当院に紹介となった.明らかな感染所見は認めず,降圧療法を行い 7 月中旬腹腔動脈瘤切除術,血行再建術を施行した.術後経過良好にて13日目退院となった.病理組織検査ではSAMであった.SAMの報告例のほとんどが緊急症例であり,本症例のように待機的手術を施行した例は稀であり,文献的考察をふまえて報告する.