日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部大動脈瘤術後のperigraft seromaに対し,ドレナージおよび人工血管周囲に有茎大網被覆を行った 1 例
田中 常雄松本 興治山本 淳史玉置 基継
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2008 年 17 巻 6 号 p. 627-630

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抄録
59歳,男性.三枝病変および最大径 7cmの腹部大動脈瘤に対し,冠動脈バイパス術を行い,待機的にYグラフト人工血管(Gelsoft Plus®)を用い腹部大動脈瘤置換術を行った.術後の経過は良好であったが,約 2 カ月後の腹部CTにより,人工血管周囲に直径約 9cmの液体貯留がみられたため再入院となった.最大径が 9cmであり再手術を行うこととした.瘤壁を切開すると淡黄色の液体貯留がみられた.中枢側,末梢側ともに人工血管吻合部に異常はみられなかった.瘤壁を可及的に切除しドレナージを行った.人工血管の組織治癒を期待し,また人工血管と腸管との癒着を防止するため人工血管全体を有茎大網組織で被覆した.現在術後 8 カ月を経過し,再発はみられず経過良好である.この方法は比較的簡便であり,低侵襲で有効な方法であると考えられた.
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