日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤の 1 手術例
福田 卓也福島 靖典児嶋 一司
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2008 年 17 巻 7 号 p. 669-676

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抄録

馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤の手術を経験したので報告する.症例は81歳,男性.急性心筋梗塞発症時に馬蹄腎を合併した腎動脈下腹部大動脈瘤を指摘された.術前の 3D-CT血管造影にて左右主腎動脈,副動脈,左右尿管の走行を確認し手術に臨んだ.手術は腹部正中切開,経腹膜アプローチにて行った.大動脈遮断にて動脈瘤の減圧を行うことで,腎峡部は大動脈前面との間で容易に剥離可能であり,腎峡部を上下へ牽引することで良好な視野が得られた.副動脈末梢より人工血管置換を施行し,術後経過は良好で腎機能の悪化も認められなかった.術前評価としては腎動脈の分枝異常,尿管の走行の評価が重要と考えられた.分枝血管は 3D-CT血管造影のみで評価可能であったが尿管は静脈性腎盂造影などを考慮することも必要と考えられた.これらの術前評価から腎動脈再建,腎峡部の処理,アプローチ方法を検討し手術に臨む必要があると考えられる.

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