抄録
両側腎動脈再建を要した腎動脈上腹部大動脈瘤を経験したので報告する.症例は75歳男性,CTで腎動脈分岐上部より始まる最大径70mmの大動脈瘤を認めた.3-DCTで腎動脈は両側ともに 2 本ずつ認め,左上腎動脈を除く 3 本は瘤より分岐していた.手術は,腹部正中切開・開腹にて行い,左腎静脈を切離し瘤頸部および両側 4 本の腎動脈を露出した.腎保護として左腋窩動脈よりの一時的腎灌流を行い,18 × 9mm woven Dacron graftにて中枢側吻合を行った後,左下,右上,右下腎動脈の順にグラフトに直接吻合し順次灌流を再開した.腎動脈再建時中は 4。C乳酸加リンゲル液注入を行った.腎灌流を終了し,両側総腸骨動脈に末梢吻合を行い,最後に下腸間膜動脈再建を行った.術後経過は良好で,腎機能の悪化なく22日目に元気に退院した.腎動脈上腹部大動脈瘤に対する腋窩動脈よりの一時的腎灌流の手技と有用性について報告する.