日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部限局型大動脈解離に対する炭酸ガス造影法によるステントグラフト内挿術の 1 例
小畑 貴司松原 純一四方 裕夫飛田 研二野口 康久秋田 利明
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2009 年 18 巻 5 号 p. 581-585

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抄録

【背景】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(endovascular aneurysm repair; EVAR)は低侵襲的治療方法であるが,本法はヨード造影剤が必要であり,ヨードアレルギーや腎機能障害などの合併症を有する症例には躊躇する.われわれは今回,医療用炭酸ガス(以下,炭酸ガス)造影法を用いてEVARを施行した症例を経験した.【症例】87歳男性.4 回の開腹手術を施行され,膀胱結石にて通院中にMRI検査を施行し,腎動脈分枝下腹部大動脈に,潰瘍様突出像を認めた.また,24時間クレアチニン・クリアランスは30.60ml / minと腎機能低下を認めた.病状より動脈瘤に対する低侵襲的治療方法であるEVARを医療用炭酸ガス造影法で施行した.【結論】ヨード造影剤の使用制限を有する症例に対し,炭酸ガス造影法は有用な方法であり,今後のEVAR適応を拡大できる可能性が示唆された.

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