2009 年 18 巻 5 号 p. 581-585
【背景】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(endovascular aneurysm repair; EVAR)は低侵襲的治療方法であるが,本法はヨード造影剤が必要であり,ヨードアレルギーや腎機能障害などの合併症を有する症例には躊躇する.われわれは今回,医療用炭酸ガス(以下,炭酸ガス)造影法を用いてEVARを施行した症例を経験した.【症例】87歳男性.4 回の開腹手術を施行され,膀胱結石にて通院中にMRI検査を施行し,腎動脈分枝下腹部大動脈に,潰瘍様突出像を認めた.また,24時間クレアチニン・クリアランスは30.60ml / minと腎機能低下を認めた.病状より動脈瘤に対する低侵襲的治療方法であるEVARを医療用炭酸ガス造影法で施行した.【結論】ヨード造影剤の使用制限を有する症例に対し,炭酸ガス造影法は有用な方法であり,今後のEVAR適応を拡大できる可能性が示唆された.