日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
孤立性上腸間膜動脈解離7例の検討
石井 廣人中村 都英中村 栄作松山 正和新名 克彦児嶋 一司
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2009 年 18 巻 6 号 p. 609-613

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抄録
【目的】孤立性上腸間膜動脈(SMA)解離症例を散見するようになったが治療法の選択において一定の見解を得られていない.われわれはSMA解離に対する保存的治療の有用性について報告する.【方法】2006年10月から2008年11月までに当施設にて経験した 7 例の孤立性SMA解離症例について臨床的検討を行い,保存的治療の結果について考察した.【結果】症例の平均年齢は55歳(39~82歳)で女性は 1 例であった.確定診断は造影CTで行い,偽腔の開存を認めたのは 1 例であった.全例とも急性腹症として発症し,腹膜刺激症状を認めず,保存的治療を選択した.来院時に腹部症状を認めた 5 例に対し入院加療を行い,絶食・安静,降圧療法,抗血栓療法,PGE1製剤投与を行った.経過中に症状の増悪を認めたものはなく,画像フォロー可能であった 4 例とも偽腔の縮小もしくは閉鎖を認め,動脈瘤化を認めていない.【結論】いずれの症例でも保存的加療で良好な結果が得られた.初期に腸管虚血を回避でき動脈瘤化を認めない孤立性上腸間膜解離症例については保存的治療で良好な経過を得られることが示唆された.
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