抄録
von Recklinghausen病に合併した浅側頭動脈瘤の非常に稀な1例を経験した.症例は75歳の女性.以前よりvon Recklinghausen病の診断を受けていた.褐色細胞腫に対し右腎摘出,脾動脈瘤に対し瘤切除・脾臓摘出の既往がある.2007年1月から右側頭部の拍動性腫瘤を自覚し,徐々に増大するため同年7月当院受診.四肢体幹にcafé au lait斑と神経線維腫の多発を認めた.右側頭部に4×3 cmの拍動性腫瘤を認め,エコー,CTにて浅側頭動脈瘤と診断した.瘤切除術を施行し,術後経過は良好であった.瘤壁は非常に脆弱であり,病理所見にて動脈壁の外膜への紡錘状細胞の浸潤,中膜の菲薄化,弾性繊維の断裂,内膜の肥厚を認めた.紡錘状細胞はS-100蛋白陽性であり,Schwann細胞などの神経原性と考えられた.