抄録
感染性大動脈瘤は,いまだ術後感染コントロールに難渋し得る予後の悪い疾患である.われわれは,Citrobacterによる感染性大動脈瘤に対し,瘤のen-bloc摘出と解剖学的再建を施行し良好な経過を得た.症例は73歳男性.腹痛を主訴に来院,腹部造影CTにて感染性腹部大動脈瘤切迫破裂を疑い緊急手術施行した.瘤を切開することなく,瘤・周囲組織をen-blocに摘出,ならびにリファンピシン浸漬人工血管による解剖学的血行再建・大網充填を一期的に行った.術後感染兆候を認めず,術後第25病日に軽快退院となった.また,術前血液培養・術中検体培養にて感染性大動脈瘤の起因菌として非常に稀なCitrobacter freundiiが検出された.