日本血管外科学会雑誌
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症例
分枝再建を行った馬蹄腎合併腹部大動脈瘤の3例
白方 秀二大川 和成渡辺 太治井上 智也山本 経尚
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2010 年 19 巻 7 号 p. 749-755

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抄録

馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤では大抵accessory renal artery(ARA)を合併しており,瘤切除時にその再建の是非が問題となる.自験3例では,瘤壁から出ていたARAをすべて再建した.手術は経腹的に全例馬蹄腎峡部の切断を行い,ARAのうち瘤壁から出ている径5 mm以上のものは腎機能温存目的で瘤切除と同時に再建(右1例,左2例)を行った.腸骨動脈から腎へ分岐していた細いARAは結紮した.3例中2例はARA遮断中の腎保護は行わず,1例は4 ℃の乳酸リンゲル液に加え表面冷却を併用した.下腸間膜動脈とARAが瘤壁から別々に出ていた1例は,病変が内腸骨動脈まで及んでいたためinferior mesenteric artery(IMA)とARAの再建を併せて行った.術後再建したIMAおよびARAはともに開存し,腎機能障害および虚血性腸炎の合併もなく良好に経過,退院した.3例とも峡部切断により良視野が得られ,ARAと人工血管との吻合も容易であり,合併症もなく腎機能温存を図ることができた.(日血外会誌2010;19:749–755)

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