抄録
症例は20歳男性.兄が25歳時に解離性腹部大動脈破裂で死亡.2008年3月,呼吸苦にて当院受診.レントゲン,CT上異常所見を認めず一度帰宅したが,再度症状の増悪があり,救急外来を受診.検査中にショック状態となり,血管造影にて左鎖骨下動脈破裂を来していたため,コイル塞栓術を施行した.第22病日に退院となり,以後外来にて経過観察中であったが,2009年3月,心肺停止状態で救急搬送され,CTにて腹部大動脈破裂を認めた.蘇生処置が奏功せず,死亡した.IV型Ehlers-Danlos症候群(EDS)の血管合併症は急性発症を来し,重篤かつ致命的である.IV型EDSにつき文献的考察を加え報告する.