2011 年 20 巻 3 号 p. 681-685
症例は73歳,男性.2009年頃より左下肢の浮腫を自覚した.近医通院し利尿剤を処方されるも効果なく,CT検査で腹部大動脈瘤を指摘され当科紹介となった.精査にて馬蹄腎を伴った腹部大動脈瘤(Crawford Group 2)であり,さらに左内腸骨動脈瘤と左腸骨静脈で動静脈瘻を形成しているために左下肢の浮腫が著明であることが判明した.そのためまず馬蹄腎を伴った腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術と左内腸骨動脈瘤空置術を施行し,左腸骨静脈への動脈血流入を減少させ心不全徴候を改善し,半年後に左内腸骨動脈瘤切除と動静脈瘻閉鎖を施行した.経過は良好で,外来に独歩通院中である.