日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
ステント感染による感染性動脈瘤の1治験例
江口 大彦川崎 勝己
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 20 巻 4 号 p. 737-740

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抄録
今回われわれは稀なステント感染に伴う敗血症と感染性動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は77歳男性.発熱・食欲不振・全身倦怠感のため当院救急外来受診.患者は両下肢の閉塞性動脈硬化症のため,当科にて二期的に血管内治療を施行(1カ月前に左総腸骨動脈,9日前に左浅大腿動脈にステント留置)されていた.血液培養で黄色ブドウ球菌が検出され,入院11日後の造影CTで左浅大腿動脈仮性瘤形成と周囲組織の造影増強を認め,ステント感染・感染性動脈瘤の診断で手術を行った.ステントおよび感染瘤の除去と,自家静脈による血行再建を二期的に行い良好な結果を得た.ステント感染は稀な合併症であるが,血管内治療の重篤な合併症として認識が必要である.コンセンサスは得られていないが,当院では本合併症の重篤度を考慮して血管内治療を行う全例で予防的抗生剤投与を行っている.
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