日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
多発内臓動脈瘤の1手術例
島田 晃治名村 理
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 20 巻 4 号 p. 733-736

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抄録

症例は72歳の女性.腹部エコー検査で偶然に脾動脈瘤を指摘され精査加療目的に当科紹介された.CTで多発する脾動脈瘤,肝動脈瘤,膵十二指腸動脈瘤,胃大網動脈瘤を認め手術方針となった.2.6 cm大の固有肝動脈瘤は切除・血行再建を行い,最大6 cm大を含む3個の脾動脈瘤は切開し流入・流出動脈を縫合閉鎖した.1 cm大の右胃大網動脈瘤は単純に切除を行った.病理診断では非特異的な動脈硬化性の動脈瘤の所見であり炎症や感染の関与は明らかではなかった.術後に膵液漏による腹腔内膿瘍を合併し長期間のドレナージを要したが保存的に軽快退院した.内臓動脈瘤は比較的稀な疾患で外科的治療の成績は良好とされているが,術後稀に膵炎や腹腔内膿瘍を合併することがあり膵臓周囲への手術操作を行う際には注意を要すると思われた.

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