抄録
鎖骨下動脈瘤は末梢動脈瘤のなかでもまれな疾患であり,外科的治療に関してなお検討の余地がある.症例は61歳男性.直腸がん術後の化学療法中であったが,嗄声が出現したため施行したCT検査にて右鎖骨下動脈に胸腔内に突出する最大径33 mmの嚢状瘤を指摘され手術適応となった.右襟状切開を加えた胸骨正中切開で到達し,腕頭動脈,右鎖骨下動脈と右総頸動脈のそれぞれを単純遮断して瘤切除を行った.再建は右鎖骨下動脈近位部での端々吻合が可能であった.鎖骨下動脈瘤に対する手術手技においては,アプローチと動脈遮断中の脳血流維持の問題が重要となり,個々の症例において十分検討する必要があると考える.