日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例報告
狭心症と腹部大動脈瘤を合併した患者に対するステントグラフト治療を利用したハイブリッド手術の2例
降矢 温一東上 震一頓田 央福廣 吉晃薦岡 成年
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 20 巻 6 号 p. 867-871

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抄録
腹部大動脈瘤と冠動脈疾患の合併例に対し,ステントグラフトを利用した血管内治療(endovascular aneurysm repair; EVAR)と心拍動下冠動脈バイパス術(off pump coronary artery bypass; OPCAB)の同時手術を施行し良好な結果を得た2例を報告する.症例1は70歳男性.50 mm大の腹部大動脈瘤と左前下行枝近位部を含む3枝病変で紹介された.症例2は83歳男性.51 mm大の腹部大動脈瘤と27 mm大の左腸骨動脈瘤を認め紹介.術前冠動脈造影で左前下行枝近位部を含む3枝病変を認めた.両例ともEVARを先行させ,ヘパリン中和後にOPCABを施行した.術後1日目から食事・リハビリを開始し合併症なく良好に経過し退院した.周術期の大動脈瘤破裂と急性心筋梗塞を回避できる同時手術は,メリットは大きいが手術侵襲も大きくなる.EVARを用いた本法ではさらなる低侵襲化が実現されており同時手術に有効である.
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