日本血管外科学会雑誌
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症例報告
腹腔動脈起始部狭窄を伴う膵十二指腸動脈瘤に対してハイブリッド治療を行った1例
今村 敦山尾 順田中 宏典高田 秀穂權 雅憲
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 20 巻 6 号 p. 879-883

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抄録
今回われわれは腹腔動脈起始部狭窄を伴う膵十二指腸動脈瘤に対して大動脈-腹腔動脈バイパス術を行ったと同時に動脈瘤に対して動脈塞栓術を施行して加療を行った症例を経験したので報告する.症例は61歳男性.健診で腹部超音波検査を施行され膵頭部の異常陰影を指摘された.精査を受け膵十二指腸動脈瘤の診断が得られ加療目的で当科へ入院となった.造影CT検査,血管造影検査では腹腔動脈起始部の高度狭窄と後下膵十二指腸動脈に瘤径約20 mmの動脈瘤が認められた.全身麻酔下に腹部大動脈-腹腔動脈バイパス術を自家静脈にて行った後に血管造影室において動脈瘤に対するコイル塞栓術を施行した.術後軽度の膵炎が認められたがとくに問題なく軽快退院となった.膵周囲の内臓動脈瘤に対する直達手術は膵液瘻などの合併症を伴うこともあり従来危険な手術であったが,ハイブリッド治療を行うことで大きな合併症もなく低侵襲化が可能となった.
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