日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
IIIa型急性大動脈解離を合併した高齢者腎動脈下腹部大動脈瘤に対する1手術例
古川 博史
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 21 巻 2 号 p. 119-122

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抄録

症例は82歳,女性.約1週間前より続く背部痛を主訴に来院.胸腹部造影CT上,偽腔開存IIIa型大動脈解離と中枢側高度蛇行を伴った最大径約6.5 cmの腎動脈下真性腹部大動脈瘤(AAA)を認めた.降圧療法にて解離発症急性期を回避し,発症後40日目にAAAに対してY字型人工血管置換術を行った.IIIa解離は偽腔が血栓閉塞せず開存し,術後約2年まで最大径約4.7 cmと著変なく経過していたが,術後2年1カ月後に逆行性解離により突然死した.IIIa型急性大動脈解離発症により発見されたAAAに対して,降圧療法にて解離発症急性期を回避し,安全に手術を行うことができた.AAA中枢側高度蛇行によりIIIa解離の末梢への進展が抑えられたが,偽腔開存による逆行性解離を発症したと推測された.若干の文献的考察を加え報告する.

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