日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
胸部,腹部重複大動脈瘤に対するTEVAR+EVAR一期的手術の治療成績
佐村 誠善甫 宣哉池田 宜孝金田 好和鈴木 一弘壷井 英敏
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2012 年 21 巻 2 号 p. 113-118

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抄録
【目的】胸部,腹部重複大動脈瘤または胸腹部大動脈瘤に対するTEVAR+EVAR一期的手術の早期ならびに中期成績より,その安全性を検討すること.【方法】2007年12月から2010年9月までに,当院で施行したTEVARは57例であり,そのうち一期的にTEVAR+EVARを施行した9例について検討した.年齢中央値は78歳(57–83)で,男7例,女2例,観察期間中央値は19.8カ月(10.5–29.6)であった.胸部,腹部重複大動脈瘤6例(遠位弓部,腹部3例,近位下行,腹部1例,慢性解離性,腹部2例),胸腹部,腹部大動脈瘤2例,急性B型大動脈解離,腹部大動脈瘤1例であった.【結果】使用ステントグラフトは胸部ではTAG 8例,Najuta 1例,腹部ではExcluder 8例,Powerlink 1例であった.Debranchingは右鎖骨下-左総頸-左鎖骨下動脈バイパス,左総頸-鎖骨下動脈バイパス各1例,右外腸骨-右腎動脈,左外腸骨-上腸間膜-左腎動脈バイパス1例であった.第8から12胸椎間にあると思われるAdamkiewicz動脈を閉塞した症例は4例,左鎖骨下動脈を閉塞した症例は2例,一側内腸骨動脈を閉塞した症例は3例で,左鎖骨下動脈,一側内腸骨動脈の同時閉塞症例はなかった.全例で脳脊髄液ドレナージは行わなかった.全例術後脳梗塞,脊髄虚血による対麻痺はなかった.観察期間中,Type II endoleak残存を3例認めるが,瘤径の拡大は認めず,全例生存している.【結論】胸部,腹部重複大動脈瘤に対する,TEVAR+EVAR一期的手術は安全かつ有用で,術後対麻痺を発生させなかった.
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