日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
末梢血管外科手術におけるデンプン由来吸収性局所止血材アリスタAHの使用経験
古川 博史
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2012 年 21 巻 2 号 p. 97-101

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抄録

【目的】末梢血管外科手術におけるデンプン由来吸収性局所止血材アリスタAHの使用効果に関して,血液製剤由来フィブリン糊止血材の使用効果と比較検討したので報告する.【方法】症例は2008年1月~2009年12月までの当科における末梢血管外科手術症例25例を対象とした.アリスタAH使用群(A群)10例,血液製剤由来フィブリン糊止血材(ベリプラストP)使用群(B群)15例で,ASOに対する下肢血行再建術がA群6例,B群10例,人工血管シャント造設術がA群4例,B群5例であった.止血材の使用方法は,血管吻合後止血材を吻合部に適量散布し,数分間用手圧迫を行った.両群間で術中,術後成績,合併症に関して比較検討を行った.【結果】術中出血量はA群で平均30.5 ml,B群で平均83.0 mlとA群で少ない傾向にあった.術後の主な合併症はA群で創の発赤1例,滲出液の貯留1例,肝機能障害1例で,B群では誤嚥性肺炎1例,腎機能の悪化1例であった.創傷治癒遅延および創感染は両群で認めなかった.また発熱の遷延化や吻合部仮性瘤の形成,出血による再手術例は認めなかった.末梢血管病変に対する手術症例では,両群とも下肢造影CTにて全例人工血管の良好な開存を確認することができた.人工血管シャント造設症例でも両群ともに穿刺にて問題なく血液透析を行うことが可能であった.【結論】アリスタAHは末梢血管外科手術における血管吻合部への補助的な止血材として従来の血液製剤由来の止血材とほぼ同等の効果が得られ,さらに術後成績に影響を与えず,合併症の少ない十分な効果が期待できる止血材であると考えられた.

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