日本血管外科学会雑誌
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症例
急性大動脈解離による腸管虚血に対して腸骨動脈-上腸間膜動脈バイパス術を施行し救命し得た2例
向原 公介松本 和久上野 隆幸四元 剛一豊平 均山下 正文
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2012 年 21 巻 4 号 p. 607-610

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抄録

急性大動脈解離によるMalperfusionのなかで腸管虚血が生じた際の死亡率は高い.今回われわれは急性大動脈解離による腸管虚血に対して腸骨動脈-上腸間膜動脈バイパス術を施行し救命し得た2例を経験したので報告する.症例1は30歳男性でCTにてB型急性大動脈解離による左総腸骨動脈閉塞を認めた.上腸間膜動脈(SMA)は解離が及んでいたが閉塞は認めなかった.大腿-大腿動脈バイパス術後3日目に腹膜刺激症状が出現しCTでSMA閉塞を認め緊急開腹した.小腸全体が色調不良で大伏在静脈を用いた右総腸骨動脈-SMAバイパス術を施行し,二期的に壊死小腸切除を行い軽快した.症例2は63歳男性でCTにて心タンポナーデを伴うA型急性大動脈解離を認め,SMA根部は解離が及んでいたが閉塞は認めなかった.緊急上行置換術を施行後15日目に腹痛が出現し,CTでSMAの真腔狭小化を認め,その後症状が増悪し左外腸骨動脈-SMAバイパス術を施行し軽快した.

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