日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
EVAR後の腎動脈狭窄に対するステント留置困難に対し,スネアカテーテルを用いた牽引補助法が奏功した1例
古屋 敦宏東 信良内田 恒小久保 拓内田 大貴笹嶋 唯博
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2012 年 21 巻 7 号 p. 785-789

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抄録

要  旨:82歳,男性.中枢short neckで逆漏斗型の腹部大動脈瘤にZenith Flexを使用した.術後乏尿となり,エコーによるDuplex scanで両腎動脈狭窄と診断した.右腎動脈にはステント留置が可能であったが,左腎動脈はデリバリーカテーテルが起始部で跳ね返され,通過が困難でありステント留置を断念した.その後も全身浮腫は持続し,左腎動脈へのステント留置を再実施する方針とした.腎動脈起始部での押し返しを防ぎ,デリバリーカテーテルのpushabilityを高めるため,大腿動脈側から通したスネアカテーテルをあらかじめデリバリーカテーテル先端に掛け,牽引補助することで左腎動脈内への通過が可能となった.次いでステントを留置することができ,治療後利尿・浮腫の改善が得られた.術後8カ月,腎機能の悪化をみず経過している.

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