日本血管外科学会雑誌
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症例
特発性血小板減少性紫斑病の治療中に上腸間膜動脈塞栓症を合併した1例
宮地 紘樹佐々木 通雄市原 利彦
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 21 巻 7 号 p. 825-827

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抄録

要  旨:上腸間膜動脈(SMA)塞栓症は腸管壊死から死にいたる緊急性の高い疾患であり,早期診断を要する.今回筆者らは,特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura; ITP)治療中にSMA塞栓症を合併した極めてまれな症例を経験した.症例は67歳の男性,下肢チアノーゼで発症し四肢の紫斑出現および血小板減少認め,精査の結果ITPと診断した.ステロイド投与により症状および血小板数は改善した.治療開始から1カ月後突然の腹痛で当院受診し造影CTでSMA塞栓症と診断した.試験開腹にて腸管壊死には至っていなかったため保存的治療を行い術後47日目に退院となった.ITPでは血小板数は減少しているが血小板機能は亢進しており,各臓器における塞栓症・血栓症も念頭に入れた治療が必要である.

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