日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
骨盤腎を合併した腹部大動脈瘤の1手術例
陣内 宏紀末永 悦郎麓 英征三保 貴裕
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 21 巻 7 号 p. 829-832

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抄録
要  旨:症例は84歳,男性.下血を主訴に近医受診し大腸内視鏡検査・CT施行され,最大径60 mm大の腹部大動脈瘤(AAA)を指摘され,手術目的に本院に紹介された.術前CTにて右骨盤腎を指摘され,右腎動脈は大動脈腸骨動脈分岐部直上の前壁より分枝していた.腹部大動脈人工血管置換術・右腎動脈再建術施行した.術中に右腎動脈には急速輸液ポンプ・冠動脈還流用カニューラを用いて4°Cのリンゲル液を還流させた.術後は腎機能の低下もなく術後19日に退院となった.腎奇形を合併したAAAに対する手術の際には腎虚血に対して腎保護が問題となるが,急速輸液ポンプを用いた冷却化リンゲル液の持続還流は簡便であり,適切な腎保護法であると考えられた.
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