抄録
要 旨:症例は57歳男性.Stanford B型急性大動脈解離による下行大動脈のULP拡大に対して初回の自作ステントグラフトを使用した胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)とその合併症(タイプIエンドリークとmigration)に対する再治療と過去2回のTEVARの既往がある.今回,最大径60 mmのAAAを指摘されたが胸部CTで下行大動脈にステントグラフトのタイプIIIエンドリークと大動脈の拡大(48 mm)を認めた.胸部と腹部大動脈の重複疾患であり手術リスクが高いため治療戦略を検討し,TEVAR後のエンドリークに対して下行置換をAAAに対してEVARを選択した.手術はEVARを先行させ2カ月後に二期的に下行置換を行い,対麻痺などの合併症を生じず良好な結果を得た.