日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
胸腹部大動脈瘤に対するsandwich法を用いたステントグラフト内挿術の1例
齋藤 孝晶三岡 博新谷 恒弘乗松 東吾東 茂樹
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2012 年 21 巻 7 号 p. 839-842

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抄録
要  旨:症例は肺気腫で在宅酸素療法中の76歳男性.拍動性の胸部不快感と嚥下時つかえ感を有する最大径67 mmのCrawford V型胸腹部大動脈瘤.瘤末梢側から腹腔動脈(CA)起始部までが5 mm,上腸間膜動脈(SMA)起始部までが22 mmと近接し,通常の経カテーテル的胸部大動脈瘤手術(TEVAR)ではCAを犠牲にせざるをえないと判断.転移性肝癌の合併のため,今後化学療法を行う可能性があり,腹腔動脈を温存する目的でsandwich法によるTEVARを施行.CAの血流は温存され,エンドリークや肝酵素の異常などを認めず,術後経過は良好であった.本法の長期的な成績は不明であるが,胸腹部大動脈瘤に対する有用な低侵襲治療の一つであると考えられた.
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