日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
ステントグラフト内挿術後に対麻痺を発症した腎動脈下腹部大動脈瘤の1例
坂口 健和田 朋之本郷 哲央首藤 利英子宮本 伸二森 宣
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2013 年 22 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

要  旨:症例は77歳男性で,腎動脈下腹部大動脈に55 mm大のAAAを認めた.陳旧性心筋梗塞,重度糖尿病,診断未確定胸膜腫瘤を合併していた.全身麻酔下にまず仰臥位にて大腿動脈経由にEVAR(Gore Excluder®)を行い,次に右側臥位として胸腔鏡下胸膜生検を行った.EVARに際して手技上困難な点はなく,全手技を通じて血圧低下などの循環動態不安定な時期はなかった.ICUに入室後抜管し,直後より対麻痺を認めた.緊急髄液ドレナージ,ステロイドパルス,昇圧などを行ったが改善は得られなかった.術後CTでは大動脈解離の所見はなく,endoleakは認めなかった.また,右腎上極および下極外側に梗塞を認めた.術後のMRIではTh12レベル以下の脊髄円錐の腫大,脊髄内の異常信号上昇があり,脊髄梗塞の所見であった.胸膜腫瘤の病理組織診断は肺大細胞癌の胸膜播種であった.

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