日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Coral reef aortaに対して非解剖学的バイパス術を選択した2症例
田邉 佐和香腰地 孝昭山田 就久高森 督川村 祐子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 22 巻 1 号 p. 49-52

詳細
抄録

要  旨:症例1は73歳女性.呼吸困難と乏尿を主訴とし,胸腹部造影CTでは両側胸水と心嚢水,腹腔動脈レベルでの大動脈閉塞を認め,同部位に高度石灰化病変を認めた.非解剖学的バイパス術(右腋窩-右外腸骨動脈バイパス術)を施行し心不全,腎不全は劇的に改善したが,間歇性跛行が残存し二期的に左側のバイパス術を追加した.症例2は73歳女性.間歇性跛行を主訴とし,造影CTにて下腸間膜動脈直下で腹部大動脈が完全閉塞,同部位に高度石灰化病変を認めた.右腋窩-両側大腿動脈バイパス術を行って間歇性跛行は消失した.Coral reef aortaの治療には内膜摘除や分枝再建による根治術,非解剖学的バイパス術,ステント治療などがある.全身状態が不良な症例では根治手術やステント治療のリスクが高く,非解剖学的バイパス術が有用と思われた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top