日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
当院におけるInvisiGrip vein stripperの使用経験
力丸 裕人
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2013 年 22 巻 4 号 p. 719-723

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抄録
要  旨:【目的】当院では,下肢静脈瘤に対する大伏在静脈部分ストリッピング術において,2009年6月よりInvisiGrip vein stripper(以下InvisiGrip)を導入し,使用してきた.従来法と比較し,長所,問題点について検討した.【方法】導入後より2012年3月までにストリッピング手術を施行した61例,84肢について検討し,期間中,従来式のストリッピングワイヤーを使用した11肢と,術中に別の術式に変更した5肢を除く51例,68肢(以下I群)について,導入前の2007年4月より2009年5月までのストリッピング例,38例,50肢(以下C群)と比較し,検討した.【結果】I群は片側例21,両側例30,CEAP分類別では,C2 20肢,C3 26肢,C4a 20肢,C6 2肢であった.期間中InvisiGripではストリッピングを行い得なかった例が5例,5肢あったが,すべて大腿に切開を追加するなどしてストリッピング手術は施行し得た.完遂率は93.2%であった.I群とC群の比較では,手術時間は,I群42.3 ± 15.8分/肢,C群76.8 ± 28.0分/肢で,I群が有意に短縮していた.術後抜去部疼痛は,I群12肢(17.6%),C群24肢(48.0%)に認められ,有意にC群に多かったが,すべて軽度で鎮痛剤の追加を必要とする例はなかった.【結論】InvisiGripを用いたストリッピングでは良好な結果が得られており,手術創が1箇所ですむメリットとあわせて,大伏在静脈部分ストリッピング手術における標準的なデバイスのひとつとして使用しうると考えられた.
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