日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部大動脈人工血管感染に対する手術後遠隔期に腹部大動脈盲端が破綻し消化管出血を来した1例
宮入 聡嗣小出 昌秋國井 佳文渡邊 一正津田 和政大箸 祐子
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2013 年 22 巻 4 号 p. 779-782

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抄録

要  旨:症例は63歳,男性.9年前に腹部大動脈Yグラフト置換術,5年前に同グラフト感染を発症した.人工血管の十二指腸穿破がみられ,Yグラフトを除去し,右腋窩-両側大腿動脈バイパス術と十二指腸-空腸吻合を施行した.大動脈は腎動脈直下で盲端とした.今回,突然の下血,著明な貧血と血圧低下で緊急入院となった.CTで大動脈盲端と横行結腸の癒着,結腸への造影剤の漏出,大腸内視鏡で横行結腸内に大動脈盲端の縫合糸がみられ,同部位から出血していた.大動脈盲端の横行結腸穿破の診断で手術となった.腹部正中再切開,癒着を剥離して大動脈の盲端と穿孔部を露出すると,盲端は陳旧性の血栓が充満し大動脈壁は破綻していた.血栓でかろうじて盲端が閉鎖された状態で,少量の血液が流出していた.ウシ心膜の短冊を使用し大動脈壁を2層で再縫合した.癒着での残存横行結腸粘膜露出面は焼灼し,横行結腸を切除,端々吻合で再建した.術後経過は良好であった.

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