日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腸骨動脈瘤により生じた尿管破裂に対してステントグラフトを用いた低侵襲治療にて対応し得た1例
藤村 博信
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 22 巻 5 号 p. 845-848

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抄録
要  旨:症例は75歳男性.背部~右側腹部痛のため当院に救急搬送となった.造影CTにて造影剤の後腹膜腔への漏出を認めたが,同時に拡張した尿管と貯留した造影剤が動脈瘤部位と異なっていることより尿管破裂と診断した.泌尿器科にて腎瘻を増設後,動脈瘤に対しては待機的にステントグラフト内挿術を行った.術後脚閉塞を生じたものの,保存的に加療し得た.尿管破裂に至った水腎症に関しては,ステントグラフト挿入後に改善し,腎瘻を尿管カテーテルに交換後,抜去することができた.大動脈瘤の合併症状として水腎症を生じる例はあるが,尿管破裂を発症することは非常にまれである.症状の経過より炎症性動脈瘤であることが示唆されるが,待機的ステントグラフト内挿術を用いた低侵襲治療により良好に管理し得た.
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