日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
高齢者深部静脈血栓症に対し,フォンダパリヌクスが有効であった3症例
尾花 正裕井上 龍也山本 知則
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 22 巻 5 号 p. 813-818

詳細
抄録
要  旨:深部静脈血栓症を発症した高齢者症例に対して,フォンダパリヌクスを初期治療として投与し良好な経過を得たので報告する.症例は89歳11カ月女性,89歳6カ月女性,76歳女性の3症例.治療はCTにて肺動脈塞栓および下肢深部静脈血栓症と診断後,フォンダパリヌクス皮下投与とワーファリン内服を開始した.フォンダパリヌクスはPT-INRの上昇を確認後,投与を終了した.投与期間は10日間,8日間,10日間であった.治療開始1週間後のCTで3症例とも下肢静脈塞栓の改善,下肢症状の軽減を認め出血合併症なども軽快退院した.深部静脈血栓症治療に対して,一般的にはウロキナーゼ投与,ワーファリン治療であるが,出血リスクの高い患者や高齢の静脈血栓症患者においては,フォンダパリヌクス皮下投与は自覚症状の改善と血栓陰影の消失,改善において有効な治療であり,早期離床と高齢者特有の合併症に対してはとくに有効と思われた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top