日本血管外科学会雑誌
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症例
破裂性腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を施行した1 例
溝口 和博安宅 啓二山本 浩詞井上 亨三田中 陽介
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2014 年 23 巻 1 号 p. 57-61

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抄録
要旨:破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の症例に対して,ステントグラフト内挿術(EVAR)を行い良好な結果を得た.症例は56 歳,男性.左側腹部痛を自覚した後にショック状態となり救急搬送された.救急外来で気管内挿管,人工呼吸を開始.急速輸液を行いつつ直ちに造影CT を施行した.確定診断がついた時点では循環動態の可及的な安定化を得ることができ,形態的にもEVAR 可能と判断した.EVAR 直後,type II エンドリーク(EL)を認めたが循環動態は劇的に安定化した.以後,貧血の進行や血行動態の悪化は認めなかった.術後早期の造影CT でもtype II EL を認めたが追加の治療は行わずに経過観察した.術後6 カ月目にはEL を認めたが後腹膜血腫はほとんど消失し大動脈瘤径の著明な縮小を認め,12 カ月目にはEL の減弱も認めた.rAAA に対する緊急EVAR 後にtype II EL が残存したが,追加の処置は要せず経過した.
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