日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
ステントグラフト内挿術におけるトラネキサム酸の線溶系抑制効果およびtype 2 endoleak 抑制効果の検討
新垣 正美横井 良彦東 隆遊佐 裕明外川 正海笹生 正樹大森 一史冨岡 秀行青見 茂之山崎 健二
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 23 巻 3 号 p. 675-680

詳細
抄録
要旨:【目的】ステントグラフト内挿術後には動脈瘤の急激な血栓化により凝固線溶系が亢進することが知られている.トラネキサム酸を投与することで術後の線溶系亢進およびtype 2 endoleak が抑制されるかについて検討を行った.【方法】腹部大動脈瘤51 例,胸部大動脈瘤38 例の計89 例を対象とし後方視的に検討を行った.周術期に凝固線溶系を測定,またtype 2 endoleak の評価は術後1 週間目および6 カ月目の造影CT にて行った.【結果】PT(INR),APTT,AT,血小板数においてはトラネキサム酸の投与に影響がなかった.Fibrinogen はトラネキサム酸投与群で有意に高値を示し消費の抑制が示唆された.FDP は非投与群で術後5 日目より再上昇を示し線溶系の亢進を認めたが,トラネキサム酸投与群ではその再上昇が有意に抑制されていた(43.8±36.6 vs 18.3±17.1 µg/ml: p=0.004).Type 2 endoleak は術後1 週間目において非投与群が22.0%であったのに対し投与群が6.3%と有意に抑制され(p=0.031),その傾向は6 カ月目でも持続した.【結論】トラネキサム酸を投与することでステントグラフト内挿術後の線溶系亢進およびtype 2 endoleak が抑制されることが示唆された.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top