日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
回収可能型下大静脈フィルターの長期留置により無症候性十二指腸穿孔を来した1 例
石田 勝福田 篤志山懸 基維
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2014 年 23 巻 3 号 p. 729-732

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抄録

要旨:急性肺血栓塞栓症に対し,急性期の一定期間,再発予防目的で回収可能型フィルターを使用することが多い.しかしながらフィルターを抜去せず,そのまま永久留置されることがあり,晩期合併症につながる可能性がある.症例は41 歳男性で,他院で下肢深部静脈血栓症,肺動脈塞栓症に対して下大静脈フィルター(inferior vena cava filter; IVC filter)が留置された.留置後ワーファリンを服用し,深部静脈血栓症再発は認めていなかった.1 年半後,定期的上部消化管内視鏡検査を行ったところ,偶然に十二指腸壁内に突出する異物を発見された.CT 検査では,IVC フィルターの脚部フックがIVC 壁を穿破し,十二指腸に穿通していた.下血などの消化管出血は認められなかったが,放置すれば致命的な出血を来す危険性があり,開腹下に,IVC フィルターを摘出した.

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