抄録
要旨:末梢動脈瘤のなかでも極めて稀な足背動脈瘤の1 例を経験したので,若干の文献的考察を含め報告する.症例は69 歳,女性で4 年前に脳動脈瘤の手術の既往があった.その後より右足背部の拍動性腫瘤に気づいていたが,徐々に大きくなり違和感を自覚するようになったので近医を受診した.血管エコーで足背動脈瘤が疑われ当院を紹介された.腫瘤に一致して軽度の収縮期雑音が聴取され,CTA にて足背動脈瘤と診断された.瘤を切除し,端々吻合による血行再建を行った.病理所見では仮性動脈瘤と診断され,脳動脈瘤手術時の足背の静脈穿刺の際の動脈損傷が瘤形成の原因として考えられた.