抄録
要旨:症例は52 歳,男性.左膝窩部の腫脹,疼痛を主訴に近医を受診し,急速に増大する膝窩動脈瘤の診断にて当院搬送となった.来院時,発熱および炎症反応高値を認め,左膝窩部に著明な拍動性の腫脹,発赤,圧痛を認めた.CT 撮像にて最大短径43 m の膝窩動脈瘤,瘤周囲に液貯留を疑う所見を認めた.以上から感染性膝窩動脈瘤切迫破裂の診断にて緊急手術を行った.手術はまず後方アプローチにて感染瘤の切除および感染組織のデブライドメントを行い,創を閉鎖後,内側アプローチにて血行再建術を行った.動脈瘤壁および瘤周囲膿汁の培養より黄色ブドウ球菌が検出され,感受性結果に基づき適切な抗生剤投与を行った.術後,感染兆候は速やかに改善し,感染の再燃や吻合部の問題などは認めず,良好な結果を得た.