日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
小腸切除後に生じた医原性上腸間膜動静脈瘻の1 例
湯地 大輔脇田 昇田中 陽介井上 享三尾崎 喜就
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2014 年 23 巻 4 号 p. 800-803

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抄録

要旨:上腸間膜動静脈瘻は比較的稀な疾患であり,先天性と後天性とに分類されている.発症早期であると下痢,腹痛などの消化器症状が多いが,症例によっては食道静脈瘤からの出血を認めて重篤な経過をたどる報告も散見される.症例は64 歳女性,平成22 年に腸重積に対して回盲部切除術を施行した.平成24 年1 月に下痢を主症状に発症し,5 月に他院受診した.精査にて60 mm 大の上腸間膜動静脈瘻と診断され,当科紹介受診し,同月手術を施行することとなった.術中所見は,前回の手術部位近傍に70 mm大の動静脈瘻を認めており,内部は流入口と流出口が並列していた.また,内部に前回の手術時の結紮糸が存在していた.動静脈瘻を可及的に切除した.術後経過は良好であり,14 日目に退院となった.比較的稀な疾患である上腸間膜動静脈瘻に対して良好な結果を得た症例を経験したので報告する.

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